佐比内地区の山を眺めて歩いていると、
ところどころに石が並んでいるのに気づく。
墓石である。
かつてここは金山があったことで有名だが、
貧しかった東北のこの地において、
金の産出は人々に夢を与え、
各地から大勢の人が集まったのである。
おそらく鉱夫であろう墓標の名前に、
時折珍しい(失礼だが)名前を見つけることができる。
ユダヤやヘブライ語に語呂を合わせた、
キリシタンの墓である。
墓というとどうしても暗いイメージが先行しがちだが、
ここ佐比内にある墓は少し違う。
みな慎ましやかに、
そして今を暮らしている人たちを見守るよう、
そっと佇んでいるのだ。
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